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知図の3形態

歩いて、集めて、見つけて、3つの形で表わせば見えてくる

気になったところを歩いてみる。Feel°Cの赴くまま歩いてみる。

たまたま面白い場所、人、モノ、風景に出会い、ただ眺めたり、思わず語りあったりする。

いったいどこを歩いたんだろう。帰ったら歩いた範囲を「略図」にしてみよう。

最初にできるのは、ある空間についての「地」図だ。発見したモノゴトや気になった地形が地図の上に散らばっているし、もう一度行く時、あるいは誰かにとって役立つ行先案内図になっている。そして、自分の興味・関心に引っかかった発見の「分布図」にもなっているだろう。

飛び石伝いに、あてのないまま、三年も歩き続けると、「地図」もこんなに豊かになる。

こうなると、ただの「地図」ではなく、「知」ったことのつまった「知図」になっている。まずは「地図」づくり。それが「知図」の第一形態だ。

次に、地域に分布した事柄を、別の形態の「知図」に変換してみる。

歩いているときにたまたま出くわし、気になった人物について、生きた時代に合わせて並べかえる。「空間分布」を「時間の流れ」によって変換するとこんな「系」図ができた。

こうして歴史や時代変化が浮かび上がってくる第二形態の「知図」ができる。

出来上がった「系図」は、明治以前と明治以後で「分類」している。また、自分の生まれた位置。自分の父親。さらには、父親とほぼ同世代で父親と似た雰囲気を持ち、自分に影響を与えた人たち(今西さんや川喜田、梅棹、鶴見、かこさんなど)を付け加えてみると、さらに重層的になる。

夏目漱石が「趣味の遺伝」と呼んだ、生物学的遺伝や親子関係を超えた自分の「源」が明らかになる。源氏物語ならぬ「源自」物語が絵巻物のように見えてくるではないか。

時系列で並べてみて、そこにどんな変化があるかを見るだけで相当面白いが、さらに先祖の系図のように分類して並べてみると、また新たな発見がある。

年表に書いた江戸時代に生まれた9人を、生まれた時期によって3つの時代に分けてみる。

田沼時代に、経済が自由になり、土地に縛られた封建的農本主義が崩れ始めた。都市化し、商いしながら浮遊する「遊民」が生まれ、海外の思想や学問、技術に触れながら、学びに戯れる「変人」が出現した。源内・玄白・忠敬は、世界の変化を鋭く察知した「変人」たちだ。次第に異国の脅威が現実化し、国内に混乱が起き始める。この時、変人たちの「思想」を受け継ぎ、若者たちに伝える師が生まれた。抽斎は自らの生き方で範を示し、洪庵や象山は私塾で教えた。こうした若者たちからが「実学」者となり、ついに実際に時代を変革すべく行動した。それが勝・佐内・福澤だ。こうして明治という新しい時代が拓かれたのである。

年表を読みかえるだけで、時代毎に異なる「系譜」が明らかになった。

もうひとつ例を挙げよう。

下の「知」図は、大阪・京都を Feel°C Walk している時に気になった人と彼らを発見した場所、ゆかりのある場所の分布図だ。

この図を、生年月日順に並べて「年表」にするのではなく、共通する「系譜」で分類してみる。するとこんな図になった。

こうして「系譜」図にしてみると、大阪・京都で発見した人たちだけでなく、東京を歩いていた時に発見した人とのつながりが自ずと浮かびあがる。

歩いている時は、なんとなく目に入っただけと思っていた人物は、時空を超えて、私とつながっていたからこそ選び取られたような気がしてくる。

場所と分布を表す「地」図を、時系列で並べかえると「年表」ができる。「年表」を軸に分類すると「系譜図」ができる。「地」図を「年表」や「系譜」のような「系」図に変換することで、順序や変遷が見える。これが「知」図の第二形態である。

さらに、「地」図や「系」図を図「解」してみたらどうなるか。

先の「年表」で明らかになった、明治を生きた9人をさらに「分析」する。そのために、9人の「マンダラ図」ができないか考えてみる。

すると、9人を3つの特徴で分けられるのではないかとひらめく。漱石・子規・寅彦は、文章スケッチ力に特徴がある。鷗外・露伴・荷風は、スケッチに人間や社会に対する眼差しを織りこんでエセーとして書いた。漱石たちのような「超然」とした態度とちょっと異なる。一方、少し時代の下った芥川・朔太郎・犀星はポエジー。純粋な詩的表現として凝縮した言語表現を目指した。

「マンダラ図」にまとめるとこうなった。

もちろん、これはアマチュアである私の「妄想」。思いつきの「仮説」にすぎない。しかし、誰かから教わったり、聞いたりしたことではない。自分なりに9人を分析してひらめいた発想だ。歩いて、出会ってことを「地」図にして、なりきって、実感した発想を「知」図にすることで得られたアイデアだ。

9人の文学的特徴をただすごいと鑑賞するだけでなく「真似び」たいという欲求も湧いてくる。彼らの表現力を磨くのに最適な書は何か……という観点で改めて作品を読んでみる。するとこんな「マンダラ図」もできた。

「地」図と「系」図はどんなに眺めていても飽きない。江戸から明治への変革期とポスト平成を迎える今とを比べながら「年表」を眺めていたら、そもそもなんで私は明治の文豪探9と江戸探9人にひかれるのか……という思いが湧いてきた。

復古主義とも、昔はよかった型のノスタルジアとも異なる。

では何なのか。

先人が過去の人ではなく、今の私たちが抱えていることと共通の構造を持った「葛藤・変革」を目指している同志と感じられるからだ。いたずらに崇めたてまつるのでも、時代遅れと切って捨ててしまうのでもない。自分とつながる等身大で、同じ当事者意識を持った人として見えてくるのだ。

このことを図「解」するとこうなる。

古典と伝統を活かしつつ、西洋化と近代化を目指さねばならない中で、文学者は、いかに生きるべきか苦闘し、表現した。それは、私たちが、科学技術や資本主義の行き着いた果てに、サステナブルで、脱・近代化した生き方と、グローバル化した社会との折り合いをつけて、幸せに生きる道を模索するという構造とアナロジカルな関係になっているではないか。

このことを「マトリクス図」で整理し直してみると、こうなった。

こうして「マトリクス図」で整理すると、明治の文学者達も、私たちも、青で囲まれた部分を追い求めるという意味で共通の背景を持つように思えてくる。「近代化」の先の「脱・近代化」、古典の継承、自然の中での身体感覚を基盤とした暮らし、多様な人たちとの自律的でフラットな関係性でのつながり、そして「成果」ではなくプロセスも含めた「面白さ」を追求する人生。

今、学びも生き方も変革期と言われるが、「新しいこと」「未来」ばかり見ようとし過ぎでいるように思う。むしろ、過去に何があったか、さらには過去の課題に対して先人がどう葛藤し、克服していったかを、今に重ねながら考えることがとても大事だろう。「マトリクス図」をつくってみることで、そんな視点に気づくことができた。

「マンダラ図」「マトリクス図」に加えて、あともうひとつ「図」解の方法を紹介しておこう。それは「相関図」だ。

ここまで Feel°C Walk して「知」図をつくることの意義を、具体的にどのように図をつくってゆくか示しながら述べてきた。

 

まとめるとこういうことになるだろう。

 

歩いて「点」を集めて「展」じてゆく。そのために「地」図を表す。「地」図を「展」開して、「系」図をつくり、「図」解すると、自分なりの新たな発見が生まれる。これまでの見方から「転」じた新たな見方に気づく。

「点」を「展」じて「転」じること。

机の前で考えるだけ、誰かと会って話し合うだけでは、気づきにくい新たな見方を得るために歩くという「軸」が Feel°C Walk にはある。

この「軸」は、もう一つの「軸」に支えられている。それはあらかじめテーマを持って「点」を集めるのではなく、集まった「点」を後でつなげて「線」にしてゆく。さらに、いくつかの「線」を眺めながら、これまで気づかなかった新たなコンセプトという「面」に気づく。

思わぬつながりに出会うことを面白がるという「軸」が Feel°C Walkにおけるもう一つの大事な「軸」なのである。

この2つの「軸」の中で、さまざまな物=「点」に出会う。また、さまざまな場所=「地」、「人」に出会う。

たまたま出会った「点・地・人」を「展」じて、「線」にして、「面」にしてみるとこれまでの見方とは「転」じた「発見」が生まれる。

この Feel°C Walk の心得を生かして、「相関図」をつくってみる。

Feel°C Walk の鉄則は、同じ範囲を少なくとも3回歩くことである。3回歩くことにどんな意味があり、どう変化するのか「相関図」で整理してみるとはっきりする。

「図」解する意義とは、「地」図や「系」図で明らかにした事実を抽象化し、意味・コンセプトをあぶりだすことだ。

足で歩いて集め、手を動かして「知」図をつくり、「図」解すると、アイデアがこぼれ落ちてくる。なんとなく感じたら、とりあえず動き、足と手を駆使してひたすら追い続ければ、必ず面白いアイデアに到達する。

 

最後に、ここまで紹介してきた「知」図について整理した「図」を載せておく。

歩いて、集めて、見つけて、「地」図を描き、「系」図をつくり、図「解」してみる。3つの「知図」を自らつくってみよう。先の見えないのが当たり前の未来への航海を「知図」とともに面白がって歩んでゆこうではないか。

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